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聴く力

2019/3/16
(記:門叶)

みなさんこんにちは。

みなさんはご自分のピアノの演奏を自分で弾きながら聴けている自信がありますか?

残念ながらわたしは全くありません。弾くのが精いっぱいです。

耳の痛いような話で恐縮ですが、ピアノを弾く上で注意しなくてはいけないのは、「聞いて」いても「聴いて」いないケースが多いことです。

自分のピアノ演奏を弾きながら聴く。一流のピアノスト達はできているのですが、素人の私たちにはできていない人がほとんどです。

弾きながら「聴く」。

これは脳の感覚分野と関連していて、指を動かすのは運動分野、音を聞くのは聴覚分野、つまり別々の領域で、2つを同時に動かす訓練をしないと「ただ弾くだけ」にもなりうるという話なのです。

音は出ているけど聴けていない。
自分の演奏をテープなどに録音して聴いてみるとわかります。偉そうなことを書いている私も、聴いてみるとみっともない演奏。

ではどうすれば耳が良くなるのでしょうか。
一つは、アンサンブルをすることだそうです。

連弾や他の楽器とのアンサンブルを通して他人の音を聴き、自分のピアノを合わせる。

2015年のショパンコンクール2位に輝いたシャルル・リシャール=アムランが国際コンクールに出始めたのはその1年前。それまではずっと室内楽(=つまりアンサンブル)を続けていたのだそうです。
アンサンブルがいかに重要な耳の訓練になるかが分かります。

もう一つは内的聴覚を高めること。
内的聴覚とは、音を聴いて「あ、これはドだ」と判断する外的聴覚とは反対に、自分の頭の中で聴く聴覚のことを指します。プロの音楽家はこの聴覚が強い傾向があります。

内的聴覚が身についているか確かめる方法はわかりませんが、高める方法はあると思います。ピアノを弾く前にまず譜面をひたすら読んで自分の中で音楽を作っていく。それから弾く。これの繰り返し。

ベートーベンが晩年耳が聞こえなかったのは有名な話ですが、彼がそんな中でも曲を書いていたのは(諸説ありますが)、「内的聴覚」が非常に発達していたからだといわれています。

彼の場合、モーツアルトのように「曲を書く前から頭の中で曲が完成している」のではないにしても、一音一音刻み付けて交響曲第9番などの大曲を完成させたのだと思います。

自分の中の音を聴くということも大事ということですね。

あとは、よく聞く話ですが、「弾きながら口で歌う」ということでしょうか。
自分わかっていてもなかなか面倒くさくてやらなかったりしますが、自分で歌うことが結局、息継ぎやメロディを”歌う”ことにつながると思います。これは一流の方こそ実践しているのだと思います。

上達に悩んでいる方はぜひどれか一つ実践してみてください。私もがんばります!

最後に、今回の執筆は音楽・ノンフィクションライター、ピアノ教本研究家の山本美芽さんの著作「自分の音聴いてる?発想を変えるピアノ・レッスン」2012/12/20山水舎を参考にさせていただきました。
ご精読ありがとうございました。